忍び寄る影、見えない灯り
確証はない。
しかし、確証に至る材料はある。
散りばめられたピースは、
否応なく手渡される。
人のケータイ、見たっていいことなんてないはずなのに。
見たという確証はもちろんない。
自分が寝ぼけていただけで、
知らずに触ってたかもしれない。
けど、
なんかひっかかる。
いつもなら、すぐに噛み付いてくるところで、
何ひとつ変わりのない態度。
普段本人は使うことがない、他の人とのトークで話題にしてたラインスタンプを使用。
おもむろに口から飛び出てくる、芸能人の離婚、不倫の話題。
一週間家を空けることに対して、浮気をしたいかどうかの確認。
仮に自分全てがシロであったとしても、仮に相手が全て偶然だったとしても、
そのピースはひとつひとつが意味を持ち過ぎているように思えてならない。
影は少しずつ忍び寄り、僕の灯りは削られて。
あと明日、明後日、明々後日。
全てを解放し、自分のひとときを噛み締める。
何か策は練っている可能性も、ありえるが。